その他の哲学イベント&教育実践


他所での出張哲学講座、勤務校での子ども向けの哲学教育実践の記録です。

『中学生の哲学入門』開催レポート(2019.8.1)


先日(8月1日)勤務校の夏期講習にて『中学生の哲学入門 ~ ことばを哲学してみよう ~』を開催いたしました。

中学生と先生にも参加いただき、3時間(途中休憩10分)で行いました。

 

1.「ことば」についての哲学講義(100分)
主にソシュールとヴィトゲンシュタインの思想を中心に解説をした。

 

【留意点】
①机もコの字型にし、各自ジュースなどを飲みながら、リラックスした雰囲気で行った。
②少人数であったので、質疑応答を頻繁に交えながら行った。
③とにかく、難しい用語を分かりやすいことばに意訳した。
(ex.「言語共同体」→「同じ言葉を使う人々のグループ」、「事物」→「ものごと」)
④内容ごとにまとめのスライドをつくり、ポイントを確認した。

 

【概要】
①「ことば」とは
●「違い」による区別のしくみ
●変化するものである
●相対的なものである
●言語グループによって異なる
●ある社会集団が、人為的に取り決めた「しるし」と「意味」の組み合わせ
②「文法」なしに「口語」はない。だが、「文法」は、「口語」によって日々つくられる
③「ことば」は私的使用できない
④「ことば」の意味  
●辞書を引いただけでは分からない
●言語ゲームのなかでの使われ方で決まる
●言語ゲームの中でしか互いに理解できない

 

【振り返り】
①「ことば」についての基礎概念は、語学学習や数学の前提(とくに、記号論の部分)として必要である。
②英語・国語・数学とのコラボなどで、さらなる効果が見込める。

 

2.実践(30分)
『論理力ワークノート』(第一学習社)を使い、講義内容を活かしながら、実際にことばを使った問題を解く。

 

3.対話ゲーム(50分)
「ワードウルフ」という「人狼」をアレンジしたカードゲームを行った。

 

【概要】
●ジャンルは同じだが違う2つの単語を1カードに一つずつ書く。
●そのカードを、参加者一人につき一枚ずつ配る。
●参加者が、カードに書かれた単語で、対話を行う。その際、単語が分からないように「コレ」と言う。
●参加者は、対話をしながら仲間を見抜く。
●カードの答え合わせのあと、振り返りの対話も行った。

 

【ゲーム使用した単語】
●一回目は、「仲間」と「友達」
●二回目は、「努力」と「勉強」

 

【振り返り】
●対話は盛り上がり、なかなか仲間を見つけるのも難しかったらしく、二回ともうまくいった。
●初めての試み、かつ中学生対象であったので、私(ファシリテーター)が、ある程度主導しながら、対話を行った。